課題C-1:火山噴出物分析による噴火事象分岐予測手法の開発
概要
本サブテーマでは、火山噴出物の化学分析及びデータ解析を迅速に行うツールを開発し、大量のデータを処理する火山噴出物分析・処理システムを構築する。その上で、噴火過程が歴史資料などにより明らかにされている噴火事象を用いて、事象分岐予測を行うための基本となる情報を5~10の火山で収集し、噴火事象分岐判断基準となるような火山噴出物の分析結果や解析結果を俯瞰できるカタログを作成する。また、課題C-2「噴火履歴調査による火山噴火の中長期予測と噴火推移調査に基づく噴火事象系統樹の作成」で得られる過去の火山噴出物の分析結果や解析結果も可能な限り参照し、当該火山の噴火過程を考慮した噴火事象の分岐確率について示す手法を開発する。
火山噴出物の分析に基づく噴火事象分岐予測を実現させるために鍵となるのが、いかに火山噴出物を多量かつ正確に分析し必要な情報を抽出できるかである。本サブテーマでは、火山噴出物を効率よく、かつ、高精度に分析・解析が可能な環境を新たに構築し次世代の火山研究者に提供するとともに、噴火予測の高度化に直接的に貢献するために、国内の10程度の活火山をとりあげて火山噴出物を解析し、物質科学的な噴火の特徴を一瞥できるカタログの作成を行う。
詳細
成果目標及び実施方法
- 東京大学地震研究所に火山噴出物分析装置を新たに導入し、迅速かつ高精度な分析とデータ解析が可能な環境をととのえる。
- 分析値・解析データの保存と公開のためのデータベース構築を行う。
- 国内の10程度の活火山をとりあげて火山噴出物を解析し、噴火事象分岐予測につながるような火山噴出物の特徴の抽出を行い、これをカタログとしてまとめる。
- 上記について、東京大学地震研究所は参加機関および協力機関と連携して実施する。
アウトプット・アウトカム
- 構築した火山噴出物の分析・解析環境は、利用を広く火山研究者に公開し、火山研究の基盤をささえるとともに、火山研究人材育成コンソーシアムと連携して次世代火山研究者の育成を行う。
- 火山噴火の際には、分析・解析環境を利用して火山噴出物解析を行い、迅速に噴火の特徴を明らかにするとともに、データベースやカタログにある過去のデータを参照して、噴火の推移についての予測を行う。
実施体制
- 【分担責任者】
- 国立大学法人東京大学
地震研究所准教授 安田 敦