課題B-3:地球化学的観測技術の開発
概要
本サブテーマでは、最先端の質量分析技術とレーザー分光分析技術を駆使して、火山ガスや温泉水溶存ガス・土壌ガスの化学成分濃度や同位体比をオンサイト(その場)で計測する技術を開発します。これをマグマ起源ガスの上昇状況の把握や噴気温度の推移観測に応用することで、噴火の切迫度評価の高度化と、噴火タイプの迅速な判別に貢献します。また陸上・海底の火山から放出される火山ガスの採取・分析技術や、同位体比の高精度・高スループット測定技術の開発を通して、高度な分析技術を習得した、将来の火山化学の担い手を育成します。
詳細
成果目標及び実施方法
- ヘリウム・炭素同位体比のオンサイト分析による、火山周辺のマグマ起源ガスの上昇状況の把握と放出量推定の高度化。
- 噴煙中の水蒸気等の水素・酸素同位体比のオンサイト分析による、噴気温度測定や噴火タイプ(水蒸気爆発/マグマ爆発)判別。
- 火山ガス成分濃度の高時間分解能連続観測による火山活動度モニタリング。
- 可搬性の高い小型採水システムと小型船舶を用いた、継続的な海底火山活動観測法の確立。
アウトプット・アウトカム
- 噴煙の化学組成・同位体比を指標として検出したマグマ活動状態の変化は、火山の噴火切迫度評価に利用可能。
- マグマの流路(火道位置)とも関係しうる火山周辺のマグマ起源ガスの上昇状況の把握は、噴火ハザードマップの高度化へ貢献。
- 浅海の火山活動による船舶航行への影響を見積もり、防災に貢献。
- 高度な分析技術に立脚した、火山化学研究者の育成。
実施体制
- 【分担責任者】
- 国立大学法人東京大学
大学院総合文化研究科准教授 角野 浩史